Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

キャンプ・コンセントレーション

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アカンサスの花が咲いた。かっこいい。古くから葉がデザインのモチーフに取り入れられてきた。

 

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デスデモーナ。香りがレモン系でさわやか、形も崩れにくいようだ。白のカップ咲きでこれは素晴らしいことではないだろうか。

 

 

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満開の時に写真を撮っておくべきであった。オベリスクでどのようにサポートしているかを理解するために撮影。この写真だとよくわからないかもしれないが、大体3メートルくらいはある。ものすごい迫力。シュートを固定するというよりもしだれていく枝をサポートするために左右から支えているという感じ。

 

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数少ない残りの花がこれ。シャルル・ド・ミル。香りもすばらしい。

日本だと鉢植えか、せいぜいトレリス仕立てくらいにしかできないだろうが自然な樹形を生かすと上記のようになる。

 

魅力的な植物や樹木が多すぎて悩む。ただ自分の好きなものを植えこむだけではきれいには見えないしなあ。

 

引き続きトーマス・ディッシュの「キャンプコンセントレーション」を読む。

なんと山形浩生のプロジェクトグーテンベルグ和訳の一環としてネットで無料で閲覧できる。

https://cruel.org/books/campconcentration/html/node1.html

 

これは相当面白い。いろいろな仕掛けが施してある(よくできたウソも混じっている、もちろん)。

「歌の翼に」もそうだったが、この世は監獄である、高度な知性があっても社会の役に立たない、その監獄から逃れる方法は信仰?芸術?ほかに何か? 

冒頭にトーマス・マンへの言及があるくらいだから「ファウストゥス博士」や「魔の山」はもちろん、読み終えてみるとこれってポーの「陥穽と振り子」か・・と思ったり、いろいろとニヤリとさせられるところが多かった。ヨーロッパ文学をよく知らないと逆に読むのがきついかもしれない。

しかし人間が信仰を持たざるを得なかったのはなぜだろう。そのことについてすでに何百年も前から高度なレベルの議論がなされてきたという事実はほとんど忘れられているような気がする。

 

キャンプ・コンセントレーションとは、本来ならコンセントレーションキャンプ=強制収容所がひっくりかえされた言葉だが、どうしてこのタイトルにしたのかというのがカギで、人間の知性を煮詰める実験を行う場所というのが一つ、あるいは地獄・・というより煉獄を煮詰めた場所(だから当然ダンテへの言及もいっぱいある)。

 

手記の始まりの最初に引用されているバニヤンの詩がまた良いのをはじめ、文学作品の引用・使いこなしが実に的確(ストーリーの展開にぴったりはまっているから気持ちいい)だし、生前にもっと評価されても良かった作家だと思うけどな、ディッシュ。今、原書はほとんどKindleで読めるようになっているようだ。