あまりネットでも見ないトーマス・A・ベケットについて。
名前がイギリス人以外にはなじみがないので覚えにくいのかも。一応まだDAの日本カタログにも掲載されている。
ちなみにベケットさんとはこのようなお方。
テニスンやエリオットがこの人を題材に詩を書いているので、それで取り上げられたのだろう。
デヴィッドオースチンのバラは英国の作家や文学作品から名前を取ったものが多い。
去年鉢植えを購入して、ほとんど咲かせずに過ごし、今年は爆咲きした。
近所の人からも、見事ですねえと言われるくらい。
赤からピンクに退色していくところがきれいなのと、香りが良いのが人気の秘密か。甘いダマスクにプラスして柑橘系が入って、いつまでもかいでいたいさわやかさ。
花の形も悪くないと思う。
とにかくつぼみをすごくたくさんつける。フロリバンダ並み。つけすぎて咲ききれないのもあるくらい。これは無理だなと思うものは少し落としたが、それでもこれだけ咲いた。
かなり細い枝にも花をつけるし、株の下からも咲く。
欠点は、花首が細いので全部下を向いてしまうのと、さらに花があまりに咲くので重みで下に下がってしまい、花が見えないww
とりあえず支柱を立てて花が見えるようにしたが、枝が固いし基本的には誘引ができるタイプではない。竹の棒をぶっ刺したのでは見栄えが悪いのでww来年に向け対策を考え中。やはり、ピオニーなどで使うメタルの半円状のサポートを使うのがよさそう。
あと見るからに健康・・なのはいいのだが、樹木としてみたときの魅力はあんまりないかも。とげがすごいし、葉の色や形にも特徴がない。樹形的には横張りで、上に向かって扇形に広がる。
そこで、リージェンツパークで見た通り、豪快に大きくして、自力で自立できるようにさせることにした。
という点では今年ももう少し花は抑えても良かったのかもしれない・・シュートも切ってしまったしなあ。大きくして2メートルを目指すことにしたので、以後剪定は最小限とする。
というわけでこのバラ、大型に仕立てると面白いかも。
日本の主流である狭いスペースで鉢植え、だと下を向いてしまうばかりで、良さが出ないかな。丈夫で花がたくさん咲く、香りが良いのはプラス。細かく鑑賞するよりも遠景で見て楽しむバラである。もともとのカタログでもヘッジ(生垣)にお勧めとなっている。
バラの面白いところは仕立てで印象が変わるところ。
せっかくスペースが取れる環境にいるので、基本的には大きくしたい。大きくなれば自動的に見事になるし、あらも目立たなくなる。また手入れもやりやすくなる。我が家のアイスバーグが良い例。
ただ、それには時間がかかる。四季咲きの場合、最初の3年くらいは、花をできるだけつけないようにして育てることが重要。1季咲きの場合は、花が終わった後に株が成長にエネルギーを使うことができるので、もう少しおおらかに育てることができる。
で、つまらない花を繰り返し見るよりは、一球入魂・・いや、一花入魂のほうがいいと思う。
そのためには摘蕾による花数の制限、夏の花を作らない。四季咲きをあえて2季咲きに制限すること。
そして葉の維持。葉を美しく保ち、樹木として楽しむ。今、バックガーデンはほぼ花が終わった状態で、緑がいっぱいで美しい。花もいいけど、やっぱり緑のほうが気持ちが安らぐ。
そのためにも葉がきれい、樹形がきれいな品種を選ぶのがいいかもしれない。花は遠景では点になるので、色で決めて、花の形は後回しでもいいのかも。
さて、ベケット氏2世は順調に育っておりまして、もう1本、3世を作るべく、5月の末に挿し木をしたのだが・・結果は思わしくない。今残っているのは1本だけ。それも生きているどうか自信なし。
今回は太い枝でチャレンジしたのだが、そのせいか。細い枝のほうが発根はしやすいらしい。ただしその後の生育に関しては太枝のほうが良いそうで。
先日の切り花のバラの挿し木も1本しか残っていない。切り花はもともと難しいのでやむを得ない。
義理妹宅からもらってきたバラの挿し木は、この、うまく行かなかったことを踏まえて土を変えた。バーライトを使ってきたのだが、どうもこのバーライトは品質がいまいちだったようで、鉢の土に混ぜても効果が今一つ得られない。
それで今回はココナッツの殻を使った土、ココナッツピート。
イギリスではピートモスは環境保全の観点からどんどん使われなくなっていて、このココナッツピートはその代用として、有力なものの一つだ。安いのも良い。挿し木が終わった後もそのまま鉢上げできる。
ただ、ココナッツの原産地から輸送されてくることによるコストで、必ずしもエコかどうかというとそうとも言えないらしく・・ ESGってホント難しいですよ。
BBCのガーデナーズワールドでもこのピートモス問題を取り上げてました。やっぱり安いのと、植物への効果が高い点ではピートモスは良いのですね。
園芸業界でもできるだけピートモスを使用しないような申し入れは行っているそうなのですが、法律化まではされていない。
英国の園芸用土のロングセラーであるジョン・イネスの土にもピートモスが入っていて、園芸のガイドでは例えば、バラならジョン・イネスのNo2 を使ってくださいと書いてあるものが多い。ピーター・ビールスもそうだったりする。
デヴィッド・オースチンはもうだいぶ前から環境保全をうたっており、化学肥料やジョン・イネスの推奨もやめ、全ての資材はリサイクル可能なものしか使っていない。まあこのへんは、ビジネスのイメージのためやっているような気がする・・勘ぐりすぎか。
さて、そのココナッツの土はブロック状に固めてあるものを水をかけて戻してつかう。
一気に使う用途があればいいのだけど、挿し木など少量しかいらない場合は、のこぎりとかで切って量を減らしてつかうのが良い。1ブロックを戻してしまい、大量にできてしまってちょっと困った。次回への反省。
今のところ、ニュードーンとアルベルティ―ヌ(仮)は普通に育っている。ラベンダーの挿し木も行ったがこちらはいまいち。苗の選び方がよくなかったのかもしれない。ラベンダーは苗で買っても安いので、買っちまうか・・という誘惑に耐えているところ。
しかしもうそろそろ本当にバラを植えるところがなくなりそうなので、あと3本だけ買っておしまいにしようと思っております(本当だろうな・・ww)
その候補は
ブラッシュノアゼット(ノアゼット系がうちにないから)
ジュード・ジ・オブスキュア
セントセシリア(廃盤なのでどこかで縁があったら)
と、なんとデヴィッドオースチンのバラが3本もww もう買わねえ、って言ってませんでしたかww
やはり先代のデヴィッドオースチンが作ったバラは格別でして・・
ちょっとくせがあるし、育てやすいかというとそうでもないです。でもそれを上回る魅力がある。最近の品種はありきたりになってきた。耐病性を優先すると個性がなくなりがち。
まあなんだかんだ言って、秋頃にはまた考えが変わっているかもしれない。アッシュウェンズデーの購入がまた遠のいたなあ・・
つるバラは、ニュードーンとアルベルティ―ヌの株が育ってしまったら、もうこれ以上は育てられないので、ペニー・レインの購入も見送ることにした。
とこんなに書いてきたが、お花でいっぱいの庭もいいけど、ずっと見ていると疲れるww
フロントガーデンは人目を楽しませるという意味で、きれいにしておきたいが、バックガーデンはやはり緑が主体でいいし、淡い、優しい色の花が時々咲くくらいで十分な気がしてきた。
それを踏まえ、花数は少なく、その時が来たら精鋭の花を咲かせるお手入れをしていこうと思う。