Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

チェルシーフィジックガーデンに行ってきた

Revisitedシリーズその2。

チェルシーにある薬草園に行ってきた。17世紀にさかのぼる古い薬草園である。

最寄り駅はスローンスクエア。東京なら白金とか松濤とかだろうか。

引退した軍人のための病院の敷地のそばにある。都心とは思えない静けさ。

この病院や、薬草園は、この土地の持ち主スローンさんとの取り決めで今でも1年の賃料は数ポンドだという。大金持ちのスローンさんが英国薬剤師協会に土地を貸し出したのがはじまりとか。

 

予約した時間より早く着いたので近所を散策。誰もいない。

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さて、チェルシーフィジックガーデン。

これまた前に来たのが20年ほど前なので、ほとんど覚えていなかったが、ここは訪れる価値あり。もう大興奮ですね 笑

ひっそりとしたたたずまいでイギリスの庭園としては小さいほうだと思う。それでもじっくり見ていると2時間くらいはあっという間に過ぎてしまう。

 

薬草園というくらいなので、ハーブが多い。それ以外にも珍しい植物のコレクションがいっぱい。

薬用効果があり、香りも良いという実用性があって、しかもディスプレイがすばらしい。

 

 

ペラゴニウムの温室。マニア垂涎のコレクション。温室そのものもアンティークで素敵すぎる。

このテラコッタの鉢だけでもすごい代物なのです。ため息。

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チェルシーの豪邸を背景にいくつかある温室を外から見たところ。

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コーナーごとにテーマがあって、お勉強できるようになっている。植物には1つ1つタグが付いているので品名も確認できる。

たとえばラテン名で「オフィシナリス」とついている植物のコーナー。

有名なものだとバラやカレンデュラなどがあるが、これは修道院で薬用として使われていた植物につけられたカテゴリー。

 

エリアごと、東南アジア、オーストラリア、アメリカなどにまとめられた薬用植物コーナーや、イギリスの著名なプランツハンターのコーナーなどもある。

 

こちらはアメリカ大陸のコーナー。

エキネシア(中央ピンク)、モナルダ(左の大型ピンク)、ベロニカ(中央の縦長の白)、カリフォルニアポピー(左下の黄色)などが見える。

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当時イギリスからアフリカはもちろん日本までを対象とした植物を集めるのがどんなに困難だったことか・・。飛行機はもちろん、冷蔵庫も、ネガの写真すら撮れない。絵を描いて、標本にして持ってくるか、種を持ち帰るくらいしか方法はない。

 

自然のものを生かしたディスプレイがすごく素敵。

フェンスやオベリスクなどのサポートも柳などの木の枝を使って作られている。

 

 ウィグワムと呼ばれるテント状のサポート。f:id:Saskia:20210728111219j:plain

 

枝とつるを使ったシンプルな支柱。

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中心に置いたテラコッタの鉢でうまく補強して支えているなと感心。

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廃材&ワイヤーで味がある。バラもこういう風にサポートしたらいいのでは。

その下の写真はドーム状になっていてかっこいい。フレームを枯れたシダの葉で埋めている。なるほどねえ・・。

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ガーデナーのお兄さん。選定はさみの音がすごく良い音で、いいツールを使っているんだろうな~。

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ヒマワリを背景にチリのディスプレイ。まとまりを持たせると素敵に見える。

 

イギリス人って空間の構成センスあるなあ・・。特に考えないで写真撮ってもそれなりにさまになる。通路に敷き詰めてあるレンガもさりげないようで、これを自宅で再現しようとしたら費用&手間ともに相当なものになる。

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この日はお天気が悪くて何度も雨が降ったけど、傘を差しながら見て回って、最後にカフェで一休み。ここでゆっくり過ごしてもいい。

 

平日だったせいか、お金持ち風の、おそらくご近所さんであろう常連っぽい老夫婦・ご婦人方しかいなかった。もともと観光客が押し寄せるようなところでもないので、半日静かに過ごしたいときにはぴったりだ。

 

ここで育てている植物も一部販売している。今回は値段の割に良いものがなく購入はしませんでした。

 

夏の終わりかけでもかなり見ごたえがあった。季節ごとに訪れるのも悪くない。年間会員になってもいいかなとも思った。会員になると1時間早く入園でき、提携している複数の庭園を無料で見ることができる。四季を通してどのような管理がされているのかを見るととても勉強になるだろう。実用的で、畑なんかもあるので、お金持ちがオーナーの庭園を見るよりも実際の生活に生かしやすい気がした。

 

というわけでとても満足できた休日だった。

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