Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

ミセスジョンレインが咲いてきた

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朝いちばんに見たときはこんな感じでしたが、昼頃にはだいぶ開いてきました。

つぼみは5月中旬ごろからあったのに、実際に開花するまで3週間以上かかっている気がする。ずいぶんゆっくりだな。アイスバーグとは大違い。

 

イングリッシュローズ」とはデヴィッド・オースチンという人が作り出したバラのブランドで、特に日本では絶大な人気がある。

 

「イギリスのバラ」=いいに違いないというイメージだけで売れるから結構ヘンな花も多いというか・・何をもって変というかは、耐病性とか花もちの良さとか、実際に育てる人のことをあまり考えていない作品も多い・・ということだ。

 

そこへいくとフランスのデルバールは、日本人はシャネルとかブランドものにすぐ財布が緩むし金づるになる・・と思っているかもしれないのだが、まあ、最初のとっつきは悪くてもそこはラテンの国の人で仲良くなれば実は熱いし、色彩や香りの設計についてはやはり、フランス人のセンスは超一流だしで、日本のマーケットにかなり食い込んでいる模様で、日本でしか売ってない品種、日本向けに名前を変えている品種などがいっぱいあるのだ。

 

でもデルバールは英国への個人輸出はやってなさげ。販売サイトはフランス語のみ。

EU圏内だったら買えるんだけど。英国人はそこまでバラの品種に凝らないのだろう。それも一理あって、花は広い庭の1つの要素であり、それらを組み合わせて絵画、舞台を作ることが目的なので、日本人みたいにあのバラこのバラとやたら品種を集めたがるようなことは、この国の人はしないのだ。

 

ドイツは真面目過ぎてマーケティングという言葉を知っているのか? という感じだが、環境問題に対して120%の厳しさで取り組んでおり、無農薬で育たないバラはバラではないという勢いで作っている。ほんとベンツとかBMWとかと同じで丈夫、頑丈、ベンツが美しいかというと・・繊細さはないが格好悪くはないですよね。つきあいやすい。アイスバーグもドイツ出身だ。長く楽しめるいい花がたくさんある。

 

あとは、オースチンの影に隠れがちだが古くからバラを作っている英国のハークネスとか、DAやデルバールみたいな大型作出企業にはかなわないが1年に少しずつ、新しいのを作っているところもある。

 

何しろ新種開発では10万個バラの種をまいて、実際に市場に出るのは10くらいとか、バラの苗も、ピータービールスのカタログによると芽が出てから実際に売られるまでに3年を要するとか、それで数百種類のバラをいつでも売れるようにしておくとか並大抵のことじゃないだろう。単価も安いし・・どんなに高いバラ苗でもせいぜい25ポンド(開花株)くらい、裸の苗だと12ポンド程度だ。利益が出ないビジネスは存続はできないのだから出るのだろうけど、たくさんのプレイヤーが参入できる場所ではなさそうだ。

 

今年はどこのナーサリーにとっても厳しいだろう。売れない苗はどうなるのだろうね。苗はまだいいけど切り花はただ枯れていくだけなのだろうか。悲しい。

 

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今年初めて梨の実がなった。早くも鳥に食べられているので、明日は袋がけに挑戦。