Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

10 hours-Fergus Garett

グレート・ディクスターのファーガス・ガレットの講演会にいってきた。

世界的に有名なガーデナーが、ロンドン外れのちっぽけな教会のホールで公演をするのである。

当日は満席でしたがせいぜい120人。

しかもみずからグレート・ディクスターの植物を持ってきて当日販売するという。

もうこれだけでどんなに気さくな、ただひたすらに植物が好きな人かわかると思う。

 

 

講演はグレート・ディクスターについて。

何度も行っている話だとは思うのだが話の熱量に引き込まれる。

やっぱり彼なくしてはグレート・ディクスターはありえなかった。

そして生で聞いて面白かったのは

ー自分の庭は1年に10時間程度しか手入れしてないと思う。ストラクチャープランツであるシュラブなどを使っている

ーものすごい手間暇をかけて毎年入れ替えしているのは確かだが、それはグレート・ディクスターの10分の1程度。残りの部分は変えてない(といっても手入れはもちろんしているだろうが・・)

ーナメクジやカタツムリの被害はほとんどない。農薬はもちろん、動物性肥料も土の健康のために使うのもやめている。使うのは自家製のコンポストのみ。水やりもしていない。暑かった年も水やりは2回だけ。これは土が粘土質なこともあると思う。

ー虫の被害が少ないのは、バイオダイバーシティがうまくいっているからだと思う(グレートディクスターは科学者が入って研究もしている。珍しい昆虫なども生息しているそうだ)

コンポストは良いが、鉢植えに使うには結構な手間がかかっている。作成後も、乾かして殺菌してふるいにかけるなど工程数がかかる。決して楽ではない

ー好きな花を一つ選ぶとしたら・・難しい。季節によって環境によっていろいろあるので・・でもやっぱりシンプルなプリムローズとか。昔トルコとギリシャの境のエリアでメドウの中にジャイアンフェンネルなどのワイルドフラワーが咲き乱れる様子、ああいうのがいいと思う。

(ファーガスさんはフェンネルが好きなようです。ボーダーにも良く植えています)

でも一番美しい花は妻だね、だそうです。

ーチューリップも植えたら掘り上げて再生している。

 

当日ファーガスさんが持ってきた植物は、すでに持っていたり、うちには植えないタイプの植物だったので買わなかった。

 

その翌日に用があっていつものガーデンセンターに行ったのですが、同じ植物でも成長具合が全く違うのを目の当たりにし、やはり環境を整えることで同じ植物が見違えるように美しくなるのだなあと・・ それは1日はもちろん数年でもできない。

 

同じ状態にとどまることがないように、というクリストファー・ロイドの遺志をついでダイナミックに変化させることができているのも、やはりこの土台があってこそ。

グレート・ディクスターは庭園としては100年以上、ファーガスさんがかかわりだしてからも35年以上たっています。

 

根気強く改良を進めるとともに、時には大胆に植えていってもいい。こんなものを植えるのはおかしい、というルールにしばられることもない。

 

スライドで見ているだけでも庭は本当に美しくて、それはあのクラシカルなお屋敷や、イギリスの田園地帯が背景になっていることもあるのですが、ダイナミックな庭を作るにはこのようなエネルギーに満ちた人間が必要なんだな。

そんな人でも自分の庭は世話いらずというのが面白かった。

あと、ありとあらゆる植物がラテン名でスラスラ出てくる。グレート・ディクスターにある植物は全部頭に入っているに違いない。軽く1000とかありそうなのですが・・

 

私も自分の王国を率いて頑張ります 笑

ここのところ忙しすぎて朝庭に出るのがやっとなのですが、バラも咲いてきました。

もう少し日が長くなったら早朝や宵にもガーデニングができますね。