Tortoise Bar

英国園芸日記

バラの交配

ランカスター家とヨーク家の融合を目指せ! と、無責任にバラの交配を勧めてしまったので、交配をやったことのない私もどんなものだろう・・と調べてみました。

 

交配・実生とは、自分のかけ合わせたい品種の、花粉とめしべを接触させて実を作らせ、その実から種をまいて育てる。春の1番花で作れば、四季咲き系なら翌年には花を見ることができる。

 

だがそれが自分の希望したきれいなお花になるのか? というと・・事はそう簡単ではないのですね。

四季咲き・香り・多弁は遺伝で言うとすべて劣勢に当たる。バラは基本は一重・香りなし・一季咲きが優勢になる。原種系に近づいた花が咲く可能性が高いということ。

 

じゃあ、四季咲きで香りのある花同士をかけあわせればいいんじゃないの?

ところがここで出てくるのが倍数体問題。品種にもよるのですがこれらの特徴を持つ花はほとんどが3倍数体。我が家にあるバラもぜーんぶ3倍数体。ベケット氏だけは確認できなかったけど、特徴から言っておそらく奇数の倍数体だろう。

 

奇数(3・5)の倍体は掛け合わせの成功率が落ちる。結実しにくい。

偶数(2・4)だとやりやすいのだが、これらは原種系や一季咲き。

父と母を足して2で割ったのが子供で、0.5という単位は遺伝子の世界ではありえないので奇数は不利というのもある。

 

バラは挿し木で増やせば親と全く同じクローンができる。これは同じバラ科ソメイヨシノも同じ。実生で増えなくてもOKなのだ。四季咲きのバラは気象条件によりいつ開花するかを予想できる。これも桜と同じ。

 

3倍数体でも実はなるし、交配は不可能ではない。実際、3倍数体のアイスバーグはいろんな品種の親になっている。ただ子供たちが望むような性質を持って生まれてくるかは神のみぞ知る、わけで、理想の苗を見つけるまでに大量の交配と選抜を行わなければいけない。

 

遺伝子レベルでは父と母の2分の1ずつをきっちり引き継いでいる子だが、見かけ上は、例えば人間で考えてもはっきりここが父、ここは母と分けられるようなものではない。実生交配でいうと、AとBをかけあわせると、子であるCはAとBの持っている特徴の中から大体発現する、といった大雑把な出来上がりにしかならないようだ。

 

そういえばうちの娘も私には似ておらず、父そっくりだと言われている。が、私が娘と同じ年の時の写真と比較すると似ているところが結構ある。人種的に相当かけ離れている夫婦なので男女差以外での見た目の違いが分かりやすい例かと・・見かけ上の発現でいうと父側のほうが優勢ってことか・・。

 

・・と調べてくると、バラの作出家ってすごいなあ。気が遠くなるような手間がかかる。

 

そして遺伝子レベルで操作して望みの花を作り出すほうが簡単ではないのか? という気もしてくるが、最新の英知を集めたであろうサントリー青いバラも結局あの程度の出来でしかない(技術者の人ごめんなさい。でもあれは青いバラじゃない)ので、まだ解明されていないことが多いのかもしれない。

 

バラがここまで多様化したのは、実は200~150年前くらいからで、この時期はちょうどイヌが多品種に分かれた時期に当たる。それまでイヌの品種はここまで多くはなかった。

 

家畜の品種改良等で交配に関する知見が増え、また産業革命等によって暇かつ金持ちになった人が出てきて、犬でもバラでもレアで高価なものに対するニーズも発生した、ということだろう。

 

 この家畜の品種改良の考え方を生かしてバラを改良したのが英国人のヘンリー・ベネットで、彼が作ったバラの一つが我が家の奥様。この記事にも出てきます。

gardenstory.jp

この連載むちゃくちゃ面白い。こんなに調べてまとめてあるものは英語でもないんじゃないだろうか。本にして発売してほしい。

 

 

ちなみに、イヌの品種固定は思ったよりも簡単なようだ。

先日イヌの歴史に関する番組を見ていたところ、野生のキツネを人懐こい性格とそうでないものに分けて飼育し、10世代目になると、人懐こいほうはもうペット同様でしっぽはふる、人間に飛びついて喜んで、抱っこが大好き、体色も白っぽくなりしっぽがカール状に変化、と、劇的に変化していた。イヌは年に2回出産できることを考えると、最短で5年あればここまで変わってしまうわけだ。

 

うーんやってみるか‥交配。

今年はもう終わりなので来年ですね。

そうなると交配バラの親として有名な花が気になるようになり、近所の人が植えているピースを挿し木用に分けてもらおうかなどと、またバラを見る目が変わるのであった。

 

だが根付いてしまったらいったいどこに植えるんだろうか。今目に入れても痛くないほど気にしているユキちゃんもいるし、ベケット氏から採取したゴドーグループというのもあるぞ。いや、このベケット氏とそのベケット氏は赤の他人だけど・・3倍数体同士(多分)ではあるものの、やるとしたら第一号はアイスバーグとトーマス・A・ベケットの交配かな。我が家のアイスバーグは比較的実がなることを確認しているので、アイスバーグを母、ベケット氏を父で来年はやってみるか・・。

 

秋の夜空にふさわしい1曲


Paul Epworth, Jay Electronica, Lil Silva - Love Galaxy

 

 レトロSFがテーマのこのアルバム、すごく気に入っている。Lil Silvaの涼しい声が気持ちよい。

この映像・・交配とも取れますね。