Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

つるバラを甘く見るな

今日もウォールドガーデンへ。

 

ウォールドガーデンにつくと、この間までなかった新しいバラや、名札がなかったものに改めて名前がついていた。いつ来ても雑草もないし、少なくとも毎週1回は誰かが来て手入れをしているのだろうと思っていた。

 

ジャクリーヌ・デュ・プレそっくりのつるバラ、ノートルダムオブカレー・・これはピーター・ビールス作出。カタログを見ると、とげがすごく防犯用になる、と書いてある。カレーにある修道院に植えてもらっているためこの名前をつけたとのこと。

カタログを見る限り、まさかジャクリーヌと同じ花容を持っているとは思わず。ジャクリーヌの割と近くに植えてあるところを見ると、そのことをちゃんと知ってここに植えたに違いない。

 

そしてペンバートン作出のパクスと、メイアンのピースが隣り合わせに植えられていた。花はまだなし。

www.classicroses.co.uk

himenobaraen.jp

位置としてはレッドゾーン(南向きの壁)で、DAの赤いバラたちの真ん中あたり。

どちらも、戦争が終わることを祈って名づけられた花。パクスはラテン語で平和の意味。ピースは言うまでもない。バラに少しでも興味のある人ならピースを知らない人はいない。色味も両方ともクリームでぴったりだ。

 

今流通しているバラの品種数は1000はあるのではないだろうか。おそらくDAかピータービールスのカタログのみでバラを選んでいるのではないかと思うが、大変な知識の持ち主だ。

 

オールドローズとDAのバラの使い分け方も上手い。我が家には、人工的過ぎていまいち浮いてしまっているDAのバラだが、どれもウォールドガーデンの中で溶け込むように咲いている。

 

ジェネラスガーデナーは、とげもなく花が無限に咲くということで人気のあるDAのバラで、確かに花単体は素敵だしミルラの香りも素敵だ。だがものすごい勢いがあり枝が暴れて他の植物を食ってしまう勢いがあって、きっちり壁にとめてしまうのも難しいのだが、同じく大変な勢いのある紫のつるバラとトケイソウの間に植えられて、自然な感じで収まっている。

トケイソウにも紫、ジェネラスガーデナーの中にあるほんのり紫がかったピンクと色調もぴったりだ。

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この見事な紫のつるバラは今はもう終わってしまい花がらだけ。5月末頃の写真。

左にあるのがジェネラスガーデナー。この頃からソラナムは咲いていたんですね。花期が長い花はありがたい。トケイソウはこの写真には写ってなく、花が今から咲き始めるところだ。

とにかくこの東の壁は鮮明な印象を残す。紫のつるバラのスパイシーな香りが忘れられない。

 

オールドローズは庭園の中にもあるが、外側の壁に沿ってボーダーとして植えられているところもあって、オールドローズの持つ雅やかさとレンガの壁の雰囲気が、これ以上はちょっとないな、という感じだ。壁の外は基本日陰になるので、このようなしっとりした花が欲しいところ。ここにDAの花は合わないだろう。

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この写真も5月末か6月上旬のもの。

壁の外は名札がついていないので名前がわからない。このほかに、タスカニ―スパーブと、ピンクと白のマルチカラーのオールドローズのボーダーもある。

 

そしてその隣の、名前のわからないつるバラ。あまり花が咲いていないようだがこの繊細な枝ぶりが大変に美しい。きれいに誘引されたバラは花がなくても、骨格を見て楽しむことすらできるのだなあ・・。誘引で壁に止めている個所も非常に少ない。数えてみたが5個もなかった。

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 こういう細身の繊細な枝ぶりのつるバラが私の好み。

 

そしてこれは、ウォールドガーデンの入り口にあるつるバラ。同じものが、すぐ外の入り口の壁にも植えられている。コンパッション、ハークネスのバラ。

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つるバラを甘く見るなよ、という感じ。まさに門番という感じがする。眠りの森の美女のお城を守っているのはこういうバラではないか。このごつい幹とトゲ、こんなの触れと言われたら泣いてしまうww

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ここまでがっちり育つのに何年かかかっているとは思うが、やはりつるバラ、家庭では品種をよく考えて選ばないと、恐ろしいことになりそうだ・・。

 

だがこのバラ、私が覚えている限りあまりきれいに咲いているところを見たことがない。この写真の通り上にびょんびょんはみ出してしまっている。入り口の上側で枝を横に倒している以上、こうなるのは避けられない。

 

 

バラは横に倒した枝からまっすぐにシュートを出してその先に花をつける習性がある。これをうまく生かせばたくさん花を見られるのだが、失敗すると、びよーんと伸びた先に花がついて、他には何もなしという間抜けな株になってしまう。こういう株、庭先でよく見かけますね。でもそのまま放置しておいても、それなりに育つのがバラだ。

 

風の強い日で、満開になった我が家のベケット氏の花が1つ折れた。もうちょっと株を大きくして強くなってもらうしかない。

夜窓を開けて寝ていると、ベケット氏のかすかな香りが入ってきた。それほど大きな花でもなく、6つしか咲いていないというのに。もう一つ、香りのよいバラを植えたら夏の夜や夜明けにお花の夢を見られるかもしれない・・。ヴァージニア・ウルフも2階の窓を開けてバラの花の香りをかぐのを楽しみにしていたそうだ。