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英国園芸&珈琲日記

リトルドラマーガール

ジョン・ル・カレの原作をドラマ化したもの。

 

ジョン・ル・カレの本はいろんなものが映画やドラマになっていて、新しいものだと「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ですね。これは結構気に入って数回観ました。

冷戦下のイギリス、ヨーロッパが基本舞台であり、上記の映画もスタイリッシュな映像と演出に置き換えたといえど、やはり時代が違うな・・という感想にはなる。でも時代が違うからこそ成り立ったこともあるよな・・という点で面白い。

 

BBCのドラマでは「ナイト・マネジャー」もある。少し見て中止。

高級ホテルのナイト・マネジャー(夜の部の支配人)が主人公なのですが、いくら時代が・・とはいえ、高級ホテルの管理職であれば特に厳しく習うのが「公私混同不可」だと思うのですよねえ。虐げられている美貌の女性を手助けするのも程度というものがあるでしょう。主人公がバカ自制心ないね、ってことで見る気が失せた。

 

この経験があったので続くBBCのこのドラマも放ってあったのですが、なんとこれは、監督がパク・チャヌク! 驚いたね。なぜパク・チャヌク? と思いながら見始めたら、これはジョン・ル・カレじゃなくパク・チャヌクの物語に完全に変換されていた。すごい。またパク・チャヌクに撮らせようと思いついた人もすごい。

パク・チャヌクの映画を数本見てからこのドラマを見たほうがいいかも。いや、見なくてもいいか・・。本人の映画はアーティスティックながら相当暴力的で、かつ精神的にえぐられる設定なので、ダメな人も多いかと思います。

 

これは、唯一、時代を超えているドラマになっています。今回はパレスチナ問題から発生しているのですが、それはもはや関係ない。いつの時代、どこの場所でも起こる問題。個人的な愛の物語といった凡庸なレベルではなく、戦争、理解しえないことに対する悲しみの物語になっている。非常に抽象度が高く、全てが演技であり、現実と演技の区別がつかなくなくなりそうになるが、肉体は実在するし、生々しさもそこにある。

 

ハリウッド系のミステリーやスパイ映画しか見たことなかったらつまらないでしょうが、これはすばらしいです。暴力も今回は控えめです。