Revisitedシリーズその1。ガーデンミュージアムに行ってきた。
渡英してわりとすぐ、ロンドンの右も左もわからない頃に1回行っただけ。去年デレク・ジャーマン回顧展があった時は迷ったが、コロナ真っ盛りで泣く泣くあきらめた。
コロナで亡くなった人を偲ぶ壁。
これだけの人が亡くなったのかと思うと結構来るものがある。
さて到着。
日陰の庭って落ち着くなあ。実際はかび臭くなったりして気持ちよい環境にするには細かい手入れが欠かせない。
教会であるここがなぜ庭園博物館なのかについてはこちらをどうぞ。
無料の博物館が多いロンドンですがここは有料、12ポンド。
今回はコンスタンス・スプライ展。
そういえばコンスタンス・スプライ・フラワースクールとして日本でも名前を聞くことがあったな~と思っていたが、2008年に閉校になっていた。リーマンショックで消えたビジネスは多い。日本支部もなくなっている。
20世紀初頭に生まれ、救貧院的な学校で教えるなど教師・ビジネスのセンスが早くからあったようだが、18歳で結婚。ただこの結婚はうまくいかず、夫はコンスタンスを置いて出て行ってしまった。ガーデニングはうまくいかない結婚生活のなぐさめや避難場所になっていた。
その後再就職。ヘッドティーチャーなどで頭角をあらわし、経済的にうまく行っていない友人を助けるために造花のビジネスを始めたらこれが当たる。
ついでフラワーアレンジメントに発展させて大成功。王族の結婚式のお花なども手掛けるほどになる。
戦争中は、野菜作りの本を出すなどもしていた。この辺も抜け目がない。
戦後も引っ張りだこで飛行機に乗っていろいろな国でフラワーアレンジメントのビジネスを展開。フラワースクールとして各地に学校を作る。日本もね。
とにかくすごいエネルギーの持ち主で、80過ぎても現役だったが、友人とのディナーのあとで急逝。
女性と恋愛していたこともある。現在に比べると女性が活躍できる機会は非常に少なく、同じように独立して活躍していた画家、グリュックと恋愛関係にあったが、グリュックが新しい相手を見つけて関係は終わった。
この絵はグリュックの作品ではないですが、なかなか素敵な絵である。花の色調が紫がかっていていいですね。
コンスタンス・スプライの名のバラもあります。記念すべきデヴィッド・オースチンの作出第1号で、現在も売られている。
本人はオールドローズが大変好きで、バラの研究家であるグラハム・トーマスも彼女からいろいな知識を授かったという。
この写真素敵。色がない分想像力を掻き立てられる。
しかしこの展示より常設展のほうが面白かったな。
ガーデンミュージアムのサイトにあるコンスタンス・スプライの無料展示を見るだけで十分だったかも 爆 本人の生け花作品自体の情報がとても少なかったのが残念。スプライ流の活け方ってどういうものだったのかの説明が全くなかった。
肉体労働も厭うことなくやっていた。働き者の図。こんな服装でガーデニングとは・・優雅だ・・さすが、貴婦人はズボンはいたりしないのだ。
その常設展。英国人と園芸についてコンパクトながらよくまとまっていて面白かった。
絵画の中のガーデニング。ライトが反射して見づらいですが、ユーモアがあって気に入った1枚。
写真は撮ってないが、イギリスのガーデニングの基礎を築いたプランツハンターたちの紹介。プランツハンターに憧れたことがあったな。子供の時になりたかったのは探検家なのでww 彼らが命がけで集めてきた植物、例えば青いケシが現在イギリスでも普通に育てられているのはやっぱりすごい。
パッケージがかわいい種の袋。
この頃からハチさんのための花を育てよう! っていう動きがあったのか。
ちょっと前の園芸道具の数々。
スプレイヤー。金属製だから重いだろうなあ。
英国人のなめくじへの憎しみが伝わる。死ね、なめくじ~っ!! てな具合。
幸いにして我が家はそれほど大きな被害にあったことはない。野菜をあまり植えてないからかもしれない。
おっと、となりはDDT! 戦後直後、ノミ取りに頭から振りかけられたという白い粉・・
このふいごみたいなのはなんぞ。
答えはアブラムシを吹き飛ばす道具ww
ちらっと写っているガラスのドームみたいなのは簡易温室。ネコちゃんは鳥脅し。
あっ、これですね。ポニーちゃんシューズ。芝刈り機が電動になるまでは、マシンを馬に引かせ、芝が痛まないようにシューズをはかせていた。
写真を撮り忘れたが、アラン・ティッチュマーシュ(ガーデナーズワールドのプレゼンター。モンティ・ドンの前の司会を長く務めた)にユニクロが贈ったウールのセーターも展示されていた。
今だったら、機能的ウェアのほうが色々と都合が良く、ウールを着ることもないのだが、伝統的なガーデナーはウールのセーターで作業するもので、ちょっと古くなったのをあて布したりして着ていたものだ。ユニクロセーターはグリーンではなく、オレンジっぽい微妙な色であった。
見終わって外に出ると中庭があって、あまり印象に残ってないが、ダン・ピアソンがデザインしたとか・・ロンドンなので、なにかとモダンデザインになりがちだが、クラシックなノットガーデンを残しておいても良かったのでは。
カフェでランチ。メニュー見たら高い割にあまり食べたいものがなかった。でも座ってしまったので子牛のカルパッチョを頼んで終了。
そのあと、時間が余ったのでまたリージェンツパークに行った。
前回もみたこのバラがすっかり気に入ってしまい、購入を前向きに検討中。花期が長くて、上品な香りがあり、崩れにくいと100点満点。これならフロントガーデンにあってもいいかも。今年みたいな天候不順でもこれだけきれいなのは特A。
名前はナターシャ・リチャードソン。一時期までよくTVなどで見かけていた女優さん。不幸にして事故で他界。
遅咲きもいいところのクリムゾン・シャワー。すべてのバラが終わったところで咲き始める。ランブラー系は早く咲くのが多いので、こういうのを入れておくと重宝する。ちょっと枯れてますが。
パット・オースチン。いつものウォールドガーデンにもありまして、あまり心を惹かれることはなかったのですが、この色か・・。何色とも形容しがたい微妙な色使い、デヴィッド・オースチンのバラの傑作のひとつ。21世紀に入ってからはこういう発色が少なくなり平凡になってしまった。
しかし花がら摘みしてないのでせっかくの名花も台無しww ううっ・・
バラもいいんだけど、ここのドライガーデンが好きすぎる。
アガぺが形といい、色味といい、カッコいい。大きめのテラコッタの鉢で育てればサイズコントロールできるかな・・。
ここが気持ちよかった。秘密の丘の上、小さな滝があって水の音が聞こえる。
いつ来ても人がいない。もっとも今年は観光客がほとんどいないロンドンなのでどこへ行っても静か。こういうのも良い。
ベンチに座ってしばらく休憩。
ロンドンにもあと何年いるかわからない。心残りのないよう、ロンドンならではの魅力ある場所にできるだけ足を運んでみようと思った。