Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

アランデル城

アランデル城に行ってきた。

ちょっと唸ってしまうような場所であった。

ロンドンから車で2時間程度。電車でも駅からそれほど遠くないし行きやすい。

 

我が家からのドライブはサウスダウンズ越えになる。

絵画に出てきそうなかわいらしい村をいくつも過ぎて、天気が悪かったのでダウンズの頂点は霧で何も見えなかった。

運のいいことにお城に到着したら雨が止んだ。

駐車場もたくさんある。平日なのに結構人がいてビックリ。この週は天気も良く、皆コロナの反動で外出の機会に飢えているに違いない。自分もだけど。

 

アランデル城は丘の中腹にあり、周囲を見渡すことができる。

ついたのがお昼近かったのでまずは城内のカフェに入ることにした。

サンドイッチとケーキ、飲み物しかないのにものすごく時間がかかる。

待ちくたびれて撮った写真 笑

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ところが、全然期待していなかった紅茶もコーヒーもとてもおいしく、ケーキやサンドイッチもちゃんとした手作り。

 

これまでもいくつかお城に行ったが、廃墟っぽくて見るものが少なかったり、延々と宝物が続いてうんざりしたりと、あまりいい印象がなかったが、ここはちょうどいいバランス。

しかもあまりお金持ちっぽくなく展示がさりげなくてよい。

 

なんといっても、Keeperからの360度の眺めが絶景。これを見るだけでもお城の中に入る価値があるかも。イギリスならではの美しい丘陵風景と、遠くに海を臨む。

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結構登る。こんな狭い階段を兵士は走って昇り降りしていたのか。

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このお城デュークオブノーフォークの持ち物で現役。

現在もゲストが来た時はベッドルームを使用しているそうだ。総数15だったかな・・?

その一つ。よく見ると電話が置かれてます。

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お部屋のほんの一部をどうぞ。

クイーンビクトリアが泊まったお部屋。

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布が経年変化で色あせてしまってますが、上品かつ豪華。

 

同じお部屋の鏡台。メイドに髪を結ってもらう図が思い浮かぶ・・

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女王もここでちょっと一息ついたりするのね。

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西洋のインテリアの基本がつまっている。左右対称、壁面を絵で埋めるなど。

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食事の間。

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このコバルトブルーの壺が良い。この発色、さぞ高価であっただろうな・・。

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食卓。簡素ですが品があっていいですね。

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伊万里。これ1枚で驚愕の値段だろうなと貧乏人はすぐにお金を考える。

他にも蒔絵の長持ち風タンスがありました。

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暖炉のサイズが桁違い。

雄と雌のライオンのはく製が対になっている。

写真には撮ってないが一時期の流行であった鳥のはく製のショーケースもあった。はく製苦手。気味が悪い。

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このライオンペアの間に置かれているテーブル。

この部屋がどれだけ大きいかお判りでしょうか・・

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時間が押しているので急いでお庭に行く。

もともとガーデンを見に来たのである。庭だけ見ることもできる。そのほうがチケット代が安い。

ただこのお城は初見なら訪れる価値は十分ある。

 

天気が回復して晴れたせいもあるが、ゲートをくぐって中に入ると思わず歓声をあげたくなるような晴れやかさ。

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イタリア式の庭園。いたるところに噴水。

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のぞき窓があったり、グロット(洞窟)の中に噴水があったりと、イタリア式庭園は驚きが仕掛けてあるのが特徴。

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噴水の上に王冠が浮いてますww

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植栽もトロピカル。冬はどうしているのか・・。ちなみに11月からクローズとなる。耐寒性のない植物は囲いをするなどの対策を取っているのだろうと思われる。

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とにかく見事。大胆で力強い。

ヘッジでうまく仕切って回遊を楽しめるようにしてある。

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キッチンガーデン。

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ローズガーデン。

まずこのバラのヘッジが見事。今、9月だというのにこの見事さ、信じられない。

このバラはハーロウカー。香りもすばらしくて一目ぼれ。

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ゴシック式のゲートから中に入るとこれまた圧巻。

赤・ピンク・白のバラで統一。力強く潔い。

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このオベリスク、サイズが3メートルはあるのではないか。それにジェネラスガーデナーとシュロップシャーラドをからませている。このスケール、ちまちました園芸をやっていたらこんなの思いつかないですよ。こういう大胆な使い方でこそこの暴れん坊のバラが生きる。

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しかもこれ、9月ですから。いくら四季咲きとはいえどうしたらこんなにきれいに咲くのか。

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この濃いピンクの花、マダムイサークぺレールに似ているけどシュラブ・・? と思ったら、やっぱりそうだった。シュラブにしか見えない仕立て方、写真を見てもどうやってサポートしているのかよくわからない。それでこんなに咲くなんてどうなっているのだ・・? 

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この場所は木陰にあって、日当たりは抑えめ。あまり日照がなくてもきれいに見えるバラを選んでいるのもわかる。白はデスデモーナ、ピンクはオリビアオースチン

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と、一見何でもないように見えて匠のローズガーデン。

新しく(といっても2000年から)ヘッドガーデナーとなったマーティン・ダンカン氏の技。

ハーロウカー、こんなにきれいだなんて。デヴィッドオースチンのカタログより実物のほうが何倍も美しかった。

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このお城、室内の調度と庭のトーンがぴったり合っている。

贅を尽くしていながらそうは見えない、という・・。そのせいなのか、すごく居心地が良い。

まさにアート。

 

庭だけでも1日過ごしたかったけど時間がなく、素敵なアランデルの街も見る暇がなくて泣く泣く帰宅。帰りは霧が晴れてダウンズの丘の上からの見晴らしがとても良かった。

このあたりをゆっくり歩いたり走ったりしたら楽しいだろうなあ~。

 

という、魂が洗われるような時間だった。何度も思い返してみています。イギリスにはこういう特別な場所があって、それにひかれてこの国にやってきたのだった・・というのを久しぶりに思い出した。また行きたい。