Tortoise Bar

英国園芸&珈琲日記

妖しいアルベルティーヌ

夢の宴も終わりに近づいた・・

 

まだまだバラは咲くのだけど、これから来週いっぱい気温が20度を超え、晴天が続く。

今年の美しさは低温と曇天によるものであった。

すでにシャクヤクは焦げはじめた・・フロントガーデンの植物は特に傷みやすいのだ。

この状態になったら切るしかない。

 

今年あまりに評判が良かったため、気をよくしていたが、やっぱりシャクヤクは引退だ。少なくとも白はダメ。残念だけど今年が例外であって、これからますます酷暑の春になると考えたほうがいいだろう。

 

 

ご近所さんからもう1本、赤の見事なバラをもらい、これも挿し木にすることにした。

超大型ブッシュ、またはつるバラで、香りがない。ぎりぎりサポートなしで育っている。さすがにこのバラの品種は私にもわからない。花の形はやや平べったいが、色が美しく、大型だけに丈夫だ。

根付いたとしてどこに植えるんだ 汗 

 

先日から挿し木をはじめたピースはあくまでも実験用で、この花は実際には私の庭には不自然に見えるだろう。

バラといえばHT、いわゆるコンテストに出すような育て方&咲かせ方を、このバラを使って勉強してみたく、3-5年くらいで処分していいかなと思っている。

まずは、根づいて1人前になることが先決ですが。

 

さて本題

義理の妹宅から2021年にやってきた挿し木、ついに咲きました。

これも美人ですわ・・。オレンジ・濃いサーモンピンクのつぼみから、開花すると淡いピンクに変化し、何系だろう、やっぱりティーかな? の上品な香り。

一季咲きのランブラー、とげが強烈なのと花の色と形から、アルベルティーヌじゃないかと。

金網越しで「囚われの女」(「失われた時を求めて」第5巻)

 

 

このバラ、「失われた時を求めて」のアルベルティーヌから名づけられたという記事・・本当かな。矢川澄子のエピソードを持ってきており、筆者も断定はしていない

gardenstory.jp

アルベルティーヌはフランスのバルビエ兄弟が作出したバラで、プルーストが第2巻「花咲く乙女たちの影に」を出版した数年後に発売されており、年代的にはつじつまが合う。

 

ソースを探してみると、バラのデータベースHelp Me Findのアーカイブに、記事が載っており、そこではプルーストのアルベルティーヌにちなんで名づけられた、との記述がありますが、この筆者が適当に書いた可能性もあります。この記事にも引用元がない。

記事はオーストラリアのローカル紙、2011

www.helpmefind.com

 

私に見つけられたのはこれだけで、フランス語でサーチすればさらに出てくるのかもしれませんが。

 

フランスのアルベルティーヌといえば連想するのはまずプルーストになるだろうけど、アルベルティーヌの実際のモデルは男性なんですね・・。

 

小説の中のアルベルティーヌは不思議な人、というか「私」自身がかなり不思議な人で、こんな相手に捕まったらたまったものじゃないと思う。

 

プルーストがモデルにした男性は、プルーストと別れたあと飛行機事故で死亡。小説の中ではアルベルティーヌは突然出奔し、その後、落馬して亡くなる。亡くなった後、「私」にあてて書かれた手紙が届き、もし事故がなかったら・・と「私」の気持ちは乱れる。

 

・・いや、復縁なんてそんなわけないだろうよ 爆 プルーストの願望が思いっきり投影されるくだりです。

 

まあそんな妖しい&怪しい魅力のバラ、今でも人気があるのがよくわかる。古いお屋敷にひっそり咲いていそうな気配。

 

実際には非常にたくましく手に余るくらい成長する品種です。プルーストの幻想少年少女とは違い現実主義のバラなのであった・・あははは・・