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英国園芸&珈琲日記

冬の読書その3 水を治める 

一見関係ないようですがこの2冊、セットで読むとずっしりきます。

 

 

 

これはいつも読んでいるブログの下記の記事から知りました。

ameblo.jp

まず「大地の再生マニュアル」から

こちらは家庭の庭よりももう少し大きなサイズの土地を生かすためのものです。理屈がわかればもちろん自分の庭にも応用できるはずです。

 

めちゃくちゃ面白い。水を読み、風を読むということがどういうことであるか。土地が詰まっているところを見抜いて、流れをよくすることで土地を再生することができるというのです。

 

今、技術を使って早く、安く、土手を作ったり道を引いたりすることはできるのでしょうが、大きな自然の流れから見るとそれが逆に水脈を詰まらせ、土地の衰退や天災を呼んでしまう。でもその詰まりをとってやれば、ちゃんと元に戻ることはできるし、しかもその方法も環境自体にやさしく、まわりにあるもので基本的には実現できる、と。

 

著者の矢野さんの膨大な経験則から来ているのですごく説得力がありますが、どこまで信じていいのかな? というところで、次の「天、共に在り」を読むとよい。

 

これはもう、実にいろいろな読み方ができる本であるし、ひとことひとことが胸に刺さってくる本でもあるのですが、要は、医療の改善のためには生活環境の改善=治水が必要であり、資本や高度な技術のない場所では、古来からの技術に基づいた方法をベースにやるのが正解であったということなのです。

 

そのために中村哲医師は、故郷の福岡や熊本を歩いて、昔に作られた堤防を見て歴史を振り返り、研究し、その技術を再現してアフガニスタンに水路を作ったのですね。

 

とさらっと書いてしまいましたが、医学と土木工学は全くの別物ですし、素人が砂漠に20キロ以上にも及ぶ水路を作るなんて想像できるでしょうか。しかし昔の人だって大学で工学を習ったわけではありません。「効率」が役に立たない世界では、希望を胸に、日々試行錯誤するしかなく、その希望の源が「天」=人智を超えた自然だと中村医師はさとられたようです。

 

こうした堤防に昔から柳の木が植えられていた理由というのも書いてあります。植物はすごいし、それを生かすことを思いついた昔の人間の知恵、苦難を何とかしたいという、中村医師と同じような、その当時の人々の観察によって得られた知恵なのでしょうから、ただ敬服するしかありません。

 

この2冊、何か自分にできることを今やってみよう、という気持ちになるので、とてもおすすめです。